※本記事で紹介する建物は、浦和駅前で企画設計を行った賃貸併用RCマンション計画案です。企画設計段階の未成プロジェクトであり、実際の建築が決定したものではありません。

浦和駅徒歩1分で計画した賃貸併用RCマンション全景CG
賃貸併用住宅という選択肢
今回のご相談は、タワーマンションを購入するか、それとも土地を取得して建物を建てるかというところから始まりました。
施主様は、タワーマンション最上階住戸の購入を希望されていましたが、抽選に外れたことをきっかけに、改めて住まいのあり方を考え始めます。
その後、浦和駅徒歩1分という希少な土地と出会い、
「この土地なら、自宅と賃貸住宅を一体で計画できるのではないか。」
という新しい選択肢が生まれました。
住まいとして暮らしながら、将来の資産としても活用できる建物。
今回の計画は、その考え方からスタートしています。

オフィス・エントランスを備えた賃貸併用RCマンション
収益だけを追わない収益計画
賃貸併用住宅では、家賃収入だけを重視すると、自宅の快適性が犠牲になることがあります。
一方で、自宅を優先しすぎると、収益性が低下し、将来の運営に影響を及ぼす可能性があります。
そこで本計画では、
- オーナーが長く快適に暮らせる住まい
- 安定した賃貸経営
その両立を目指しました。
土地には、その土地に合った最適な建物があります。
企画設計では、そのバランスを探すことが重要だと考えています。

オーナー住戸と賃貸住戸を併設したRCマンション
空室リスクを考えた住戸構成
当初は、オーナー居住型マンションとして管理しやすい環境をつくるため、入居人数を抑えられるよう、1フロアを約100㎡の3LDKとし、戸数を少なくする案も検討しました。
しかし、大きな住戸だけで構成すると、退去が発生した際の家賃収入への影響が大きくなります。
そこで本計画では、
- 1LDK 2戸
- ワンルーム 3戸
という構成を採用しました。
異なる広さの住戸を組み合わせることで募集対象を広げるとともに、空室が発生した場合でも建物全体の収益への影響を抑えられる計画としています。

エントランス、自動ドア入り口前のエレベーターホール側の眺め。右手に庭植栽が見える。
6階建てではなく5階建てを選んだ理由
企画設計の初期段階では、6階建ても検討しました。
しかし検討を進める中で、
- 壁式RC構造が採用しにくくなること
- 柱が室内に現れ、プランの自由度が下がること
- セットバックによって使いにくい空間が増えること
- 建築費が上昇すること
など、さまざまな課題が見えてきました。
その結果、
5階建て壁式RC構造とすることで、
居住性・収益性・建築コストのバランスを取る計画としています。

6階建て案
6階オーナーフロア平面模型 吹抜けと光井戸を検討したスタディ
オーナー住戸には毎日の暮らしへの価値を
建築費が高騰する現在、すべてに予算をかけることは現実的ではありません。
そこで今回の計画では、
毎日暮らすオーナー住戸に重点的に予算を配分しました。
- 約3mの天井高
- 床から天井までの大型サッシ
- らせん階段
- 梁型の出ない開放的な天井
豪華な仕上げ材ではなく、
日々の暮らしの快適さにつながる部分を重視しています。

4階オーナーフロア ソファスペースから5階個室郡へのらせん階段越しに南側サンルームへの眺め
土地には、その土地に合った最適解がある
建物を計画するとき、
容積率いっぱいまで建てることが正解とは限りません。
収益だけを追い求めることも、
住み心地だけを優先することも、
長い目で見れば最適とは言えない場合があります。
土地の条件。
法規制。
建築費。
将来の維持管理。
収益計画。
そして、そこで暮らす人の生活。
これらを一つひとつ整理しながら、その土地にとって最適な建物を考えることが、企画設計で最も重要な仕事だと考えています。

4階 高級オーナーフロア 南側バルコニー前からエレベーターホールと玄関への眺め
まとめ
今回の計画は、
「できるだけ大きく建てる」
ことを目指した計画ではありません。
駅徒歩1分という希少な立地を活かしながら、
- 長く快適に暮らせる住まい
- 安定した賃貸経営
- 将来の資産価値
その三つを両立することを目標に企画設計を進めました。
土地には、その土地に合った最適解があります。
賃貸併用住宅をご検討される際は、建物だけではなく、土地の条件や将来の運用まで含めて企画設計を行うことが大切だと考えています。

















