※本記事で紹介する建物は、浦和駅前で企画設計を行った賃貸併用RCマンション計画案です。企画設計段階の未成プロジェクトであり、実際の建築が決定したものではありません。

4階オーナーフロア リビング・ダイニング全景
広さだけでは、住まいの心地よさは決まりません
住まいを検討するとき、多くの方は床面積や部屋数を気にされます。
もちろん、それらも大切な要素です。
しかし実際に暮らし始めると、
「なんとなく開放感がある」
「ずっとここにいたくなる」
そんな印象を与えるのは、数字だけでは表せない空間の質です。
今回の計画では、
オーナーが毎日過ごす住まいだからこそ、
広さだけではなく、空間そのものの心地よさを大切に考えました。

4階オーナーフロア 玄関ホールからリビングにあるらせん階段への眺め
天井高約3mが生み出す開放感
数字以上に感じる空間のゆとり
一般的な分譲マンションでは、窓の上に梁が見える天井形状となる住戸も多く見られます。
今回の計画では、リビングの天井高さを約3mとし、できるだけ梁型を感じにくい、すっきりとした空間を目指しました。
天井が高くなることで、
視線が自然と上へ広がり、
部屋全体にゆとりが生まれます。
同じ床面積でも、
数字以上に広く感じられるのは、この空間の体積によるものです。
住まいは毎日過ごす場所です。
だからこそ、
豪華な仕上げ材よりも、
毎日感じる開放感を優先したいと考えました。

南側バルコニー前からエレベーターホールと玄関への眺め
床から天井まで届く窓が暮らしを変える
光だけではなく景色も取り込む
今回のリビングでは、
床から天井まで届く大型サッシを採用しています。
窓が大きくなることで、
部屋に入る光だけではなく、
外の空や街並みまで住まいの一部になります。
朝の光、
夕暮れの空、
季節によって変わる景色。
毎日の暮らしの中で自然を感じられることも、
住まいの価値の一つだと考えています。

4階オーナーフロア 床から天井まで届くハイサッシと南側バルコニー

4階オーナーフロア 大型ハイサッシを採用したリビング
数字では測れない豊かさ
住宅は、
何帖あるか、
何㎡あるかだけではありません。
どこに座っても空が見えること。
自然光が部屋の奥まで届くこと。
家族と過ごす時間が心地よく感じられること。
そうした毎日の積み重ねが、
住まいの満足度につながっていくと考えています。

北側ソファースペースかららせん階段と玄関への見返し
らせん階段が生み出す立体的な暮らし
オーナー住戸は4階と5階を一体で利用するメゾネット形式としました。
上下階をつなぐのは、住まいの中心となるらせん階段です。
単なる移動手段ではなく、空間のアクセントとなる存在として計画しています。
一般的なマンションでは、ワンフロアで生活が完結するため、暮らしに立体的な変化が生まれにくい傾向があります。
一方、この計画では上下階をゆるやかにつなぐことで、生活シーンに合わせた空間の使い分けを実現しています。
毎日使う階段だからこそ、移動のためだけではなく、暮らしを豊かにする空間としてデザインしました。

4階と5階をつなぐオーナーフロアのらせん階段
個室にも開放感をつくる理由
開放感は、リビングだけで生まれるものではありません。
寝室や書斎など、一日の多くの時間を過ごす個室も、心地よく過ごせる空間であることが大切だと考えています。
そこで5階の各個室にも、床から天井まで届くハイサッシを採用しました。
さらに壁式RC構造を採用することで、室内に柱型が出ない、すっきりとした空間を実現しています。
家具のレイアウトもしやすく、部屋全体を有効に使うことができます。
毎日暮らす住まいだからこそ、数字では表れにくい心地よさを積み重ねることが、長く満足できる住まいにつながると考えています。

高さ2.7mハイサッシを採用した5階個室

5階北東側バルコニーと都市の景観を切り取るハイサッシの2つの窓辺がある個室

天井高2.7mのハイサッシがある寝室の眺め
南北に抜ける視線が暮らしを変える

南北方向へ視線が抜けるオーナーフロア

なぜオーナー住戸に予算をかけたのか
建築費が高騰している現在、すべての部分に同じように予算をかけることは現実的ではありません。
だからこそ企画設計では、「どこに予算を使うか」という優先順位が重要になります。
この計画では、
・北側ファサードはコンクリート打放し
・その他の外壁は防汚塗装仕上げ
とすることでコストを抑え、その分、毎日暮らすオーナー住戸の居住性に予算を集中しました。
天井高さ約3mのリビング。
床から天井までのハイサッシ。
柱型のない壁式RC構造。
4階と5階をつなぐらせん階段。
これらは豪華な仕上げ材ではなく、暮らしそのものの質を高めるための投資です。
住まいは毎日使い続けるものだからこそ、長い時間を過ごす空間に価値を持たせることが大切だと考えています。

道路側から見えない外壁をコストダウンのため、防汚塗装仕上げとした南側外壁
まとめ|住まいの価値は「広さ」だけでは決まりません
住まいの満足度は、床面積や設備のグレードだけでは決まりません。
天井の高さ。
窓の大きさ。
視線の抜け。
家事動線。
そして、家族がどのように暮らしたいか。
こうした一つひとつを丁寧に積み重ねることで、長く愛着を持って住み続けられる住まいになります。
今回ご紹介した建物は未成プロジェクトですが、お施主様と何度も対話を重ねながら、「その土地だからこそ実現できる住まい」を目指して企画設計を進めました。
建物には、それぞれの土地に合った最適な答えがあります。
片岡直樹一級建築士事務所では、建物の形を考える前に、お客様がどのような暮らしを望まれているのか、その土地にはどのような可能性があるのかを一緒に整理することを大切にしています。
住まいづくりや土地活用をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

















