
住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
群馬県富岡市にある美術館です。ヴォールト屋根の連続とコンクリート打放し杉小幅板本実型枠が美しいです。
設計は柳澤孝彦先生+TAK建築・都市計画研究所です。新建築1995年11月号に発表されました。
30年近く前の建築ですが、その美しさはまったく色あせていません。
今見ても、誰も真似をしてたどりつけないほどに高貴です。
陳腐化されていない先見性のあるデザインに感動します。

車寄せ 市民ギャラリーの外壁
コンクリート打放し 杉小幅板本実型枠 撥水性表面処理剤の外壁
杉小幅板本実型枠、自分も挑んでみたい仕上です。
出目地にしびれます。素晴らしいです。

プロムナード
この建物全体のパースペクティブな空間構成は、画家 福沢一郎の先見性に通じるイメージのようです。

プロムナード横の中庭
ヴォールト屋根は鉛メッキ鋼板t0.4

プロムナード
床 壁 天井 すべての目地がビシビシに割り付けられています。
自分もこんな素晴らしい割付をしてみたいです。

プロムナード 車寄せへの見返し
低いヴォールト屋根から高いヴォールト屋根へと変化します。
天井もホワイトコンクリート打放し 杉小幅板本実型枠
ホワイトコンクリート打放しとは、白色ポルトランドセメントからなるコンクリートを構造体として使用するものをいいます。
セメント色が特注なので、昨今のコンクリート打放し仕上のような、安易なコンクリート打放し全面補修などはできないのではないでしょうか。
それともセメント色を合わせるだけで全面補修をすることになるのでしょうか。
写真右側の壁は、ライムストーン水磨きt40 乾式工法 断熱用捨型枠下地

1階 エントランスホール
細長く高いヴォールト天井の連続のなかで、1階エントランスホールと2階ロビーが、連続した構成となっています。
高く細長いヴォールト天井 ライムストーンの壁 ホワイトコンクリート打放し 杉小幅板本実型枠の構成が素晴らしいです。
床仕上げはライムストーン水磨き
床と壁がライムストーン 壁がホワイトコンクリートと、コントラストの薄い美しい取り合わせが勉強になります。

1階エントランスホールから2階ロビーへとつながる階段のディテール

1階 エントランスホール見返し

2階ロビーからエントランスホールへの見下ろし

2階ロビーから中庭への眺め

2階ロビー
舞台のように一段上がった構成です。

2階ロビーから中庭へと連続するコンクリート打放し壁面とサッシのディテール

2階ロビーから展示室廊下への眺め

2階 福沢展示室
ヴォールト天井の頂部からトップライトの光が入ります。

2階 福沢展示室 ヴォールト屋根天井にはトップライトから光がふりそそぎます。
床フローリングはナラt15 耐水合板t12コンクリート直押え下地

2階 中庭の回廊
柳澤孝彦先生の新建築の解説文には、丘陵の奥へと奥行を深めていく展開。『わけ入っても、わけ入っても青い山』とあります。

2階 中庭
素晴らしいシークエンスです。

2階 回廊外部からの福沢展示室の入口

1階 エントランスホール WC前のディテール
ルーバーの見込側の折り返しがキッチリされています。ライムストーン本磨きの壁との取り合いが見えます。

トイレ
トイレブースの壁が大理石です。
タイルの割付ブースとの取り合い割付全てがトイレの中まできっちり整えられています。一部ブースと衛生陶器は交換されているように思いました。
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
所在地: 〒370-2344 群馬県富岡市黒川351−1
電話: 0274-62-6200