江東区潮見で建設中の、鉄筋コンクリート造4階建てオフィスビルの工事記録です。
前回の上棟に続き、各階のサッシとガラスの取付け状況です。

南側外観
建物はまだ足場と養生シートに覆われていますが、各面の窓にサッシとガラスが入りました。
今回は、サッシ工事で設計者が何を確認しているかと、今回初めて採用した内装下地の工法をご紹介します。
上棟と屋上階のコンクリート打設については、前回の記事でご紹介しています。
サッシは、工場でつくる前の確認で品質が決まる
窓のサッシは外壁の一部です。
台風のときの風の圧力に耐える性能(耐風圧性)、雨水を室内に入れない性能(水密性)、すき間風を防ぐ性能(気密性)が求められます。

3階事務室の東側開口部です。サッシとガラスの取付けが終わっています。
サッシはメーカーの工場で製作し、できあがった製品を現場に運び込んで取り付けます。
現場で必要になってから発注する工事ではありません。製作図の作成、確認、承認、製作、搬入、取付けまで、工事のかなり前から段取りが必要です。
そのため、サッシ工事での設計者の確認は、工場で製作に入る前が中心になります。
この建物では、次の3段階で確認を進めました。
STEP1:製作図を描く前の打合せ
サッシメーカーが決まった段階で、設計監理者・施工者・サッシメーカーの3者で打合せを行います。
工事の範囲と、製作図の作成から取付けまでの時期、製作図を描くうえでの基本事項を確認します。
施工者とサッシメーカーの間で、設計図は渡っていても、設計事務所が定めた仕様書の内容まで伝わっていないことがあります。この打合せで、設計の意図を直接メーカーに伝えます。
STEP2:仕様確認書と代表的なサッシの製作図の確認
仕様確認書は、性能、材料、表面の処理、ガラスの種類、金物などを、メーカーが一覧にまとめた書類です。
サッシに関わる決まりごとは、建具の仕様書だけでなく、金属工事や塗装工事の仕様書にも分かれて書かれています。仕様確認書で一つにまとめて確認すると、伝わっていない項目が見つかります。
あわせて、建物の中で代表的なサッシの製作図を先に確認し、考え方の違いがないかをすり合わせます。

西側の外観です。4階には、1400mm角の窓にサッシとガラスが取り付けられています。
STEP3:すべての製作図の確認・承認
最後に、すべてのサッシの製作図を確認し、承認してから製作に入ってもらいます。
STEP1とSTEP2で考え方をそろえておくと、この段階では新しく出てきた点の確認に集中できます。
製作図を確認するときは、サッシ単体ではなく、取り付いた後の壁や天井との取り合い、コンクリート打ち放しの面との境目まで、完成したときの姿を想定して見ています。
製作図の確認を3段階に分ける理由
製作図の確認は、手間のかかる作業です。
何十枚もの製作図を何回も直してもらい、重要な図面は第1版から第4版、それ以上まで確認を重ねることもあります。
すべてを一度に確認して返すと、各図面に共通する訂正が必ず出てきます。
「共通の訂正なので、全部の図面を直しておいてください」と伝えて承認印を押して返しても、訂正の数が多いと直し漏れが出ることがあります。
工場の担当者は打合せの経緯を知らないため、承認印のある図面のとおりに製作します。
製品ができあがってから「直すように伝えたはずだ」と言っても、「承認印がある」と言われれば話は進みません。同じ形の製品が何十枚もできていれば、手直しは中途半端になりがちです。
納まりが悪いまま取り付けられた窓の費用を負担するのは、施主様です。
こうしたことを防ぐために、製作図の確認を3段階に分け、一段ずつ確認してから次に進めています。
現場での取付けは、施工者の検査記録で確認する

東側外観
現場でサッシを取り付ける各工程は、施工者が検査を行います。
非常駐の工事監理では、取付けの工程に毎回立ち会うことはしていません。
どの工程で、誰が、何を確認するかを工事の初めに施工者と取り決め、その検査記録を確認しています。
この建物は、各階の窓の位置と幅をそろえて設計しています。窓をそろえると、型枠を下の階から上の階へ転用しやすくなり、外観も整います。
4階会議室と室外機置場バルコニー

4階の会議室から、北側の室外機置場バルコニーを正面に見ています。
このバルコニーは、高度斜線制限によって斜めになった壁の部分を、エアコンの室外機置場として使えるようにしたものです。
斜めの壁と室外機置場については、型枠工事の回でご紹介しています。
壁に並ぶ黒い点は、内装下地のスクリューパッキン
写真の壁に、黒い点が等間隔に並んでいます。
これはフクビ化学工業の「スクリューパッキン」という部材で、コンクリートの壁に石膏ボードを張るための内装下地です。
コンクリートの凹凸に左右されずに、垂直の精度が高い壁をつくることができます。
コンクリートの壁と石膏ボードの間のすき間には、断熱材の硬質ウレタンフォームを厚さ30mmで吹き付けます。
スクリューパッキンでボード下地を精度よく取り付けられるため、硬質ウレタンフォームも精度よく吹き付けることができ、内断熱をきれいに仕上げられます。
先ほどの3階事務室の写真でも、サッシの周りの壁にスクリューパッキンが取り付けられています。
今回初めてスクリューパッキン工法を採用した
コンクリートの壁に石膏ボードを張る下地には、これまでGL工法とLGS下地工法が主に使われてきました。
GL工法は、コンクリートの壁に専用の接着剤(GLボンド)を団子状に盛り、石膏ボードを押し付けて張る方法です。接着剤を水で練って使う湿式の工法です。
LGS下地工法は、軽量鉄骨の柱(スタッド)を床から天井まで立て、そこにボードを張る方法です。下地の分だけ、コンクリートとボードの間のすき間が大きくなります。
今回、初めてスクリューパッキン工法を採用し、良い工法だと感じています。
GL工法と違って水を使わない乾式の工法で、精度の高い壁をつくれます。
LGS下地工法よりも、コンクリートとボードの間のすき間を薄くできます。
しかも、調整できる寸法の種類が多く、断熱材の厚さに合わせて選べます。
断熱する壁と、打ち放しのまま残す壁

3階事務室の南側開口部を見ています。
外壁に面する壁は、硬質ウレタンフォームで内断熱をしたうえで石膏ボードを張り、クロスで仕上げます。そのため、外壁に面する下地には、すべてスクリューパッキンが付いています。
一方、写真右側の階段室の壁は、コンクリート打ち放し化粧仕上げです。コンクリートの面がそのまま仕上げになるため、スクリューパッキンは付けていません。
同じ部屋の中でも、壁ごとに仕上げが違います。
どの壁を断熱してボードで仕上げ、どの壁を打ち放しで見せるかは、設計の段階で決めています。
打ち放しで残す壁には、後から配線や配管を隠す場所がありません。コンクリートを打つ前に、必要なものを躯体の中に仕込んでおく必要があります。
2階事務室の天井はコンクリート打ち放し仕上げ

2階事務室の東側開口部です。
この開口部は、4階床の配筋検査の回で、型枠工事中の姿をご紹介した窓です。
窓の大きさと位置の考え方は、4階床配筋検査の回でご紹介しています。
2階と3階の事務室は、天井をコンクリート打ち放し仕上げとしています。
写真の天井には、ガラス質のなめらかな打ち放し面ができています。
天井に取り付ける配線ラックと照明器具は、天井の型枠パネルの目地に合わせて配置します。
最終的には施主様に確認していただき、ご要望により、天井全面を補修・調色するコンクリート化粧仕上げとしています。
次回は、施主様との定例会議の様子をお伝えする予定です。
RC造のオフィスビル、コンクリート打ち放しの建築をご検討の方は、潮見オフィスビルの設計事例ページや未公開カット集、設計監理費のページもあわせてご覧ください。
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