江東区潮見に建てた、鉄筋コンクリート造4階建てオフィスビルの工事記録です。今回は、屋上階(RF)のコンクリート打設を行った回です。この打設で建物の骨組みとなるコンクリートの躯体がすべて打ち上がり、上棟となりました。
打設前に行った屋上階の配筋検査については、前回の記事でご紹介しています。
鉄筋コンクリート造の上棟とは
上棟は、建物の骨組みが一番上まで組み上がった時点を指します。木造住宅では、屋根の一番高い部材(棟木)を取り付けた日が上棟です。
鉄筋コンクリート造では、屋上の床のコンクリートを打ち終えた日が上棟にあたります。この建物では、1階から各階の壁と床を順番に打設してきました。今回がその6回目、最後のコンクリート打設です。
上棟後は、サッシ・内装・設備などの工事に移ります。ただし、コンクリートの躯体は後から作り直すことができません。
コンクリート打放しの建物では、コンクリートの面がそのまま仕上げになり、壁や天井をボードで覆うことがありません。そのため、次のようなものは、コンクリートを打つ前に躯体の中に仕込んでおく必要があります。
・照明やコンセントのスイッチボックス
・電気の配線を通すCD管の経路
・設備の配管を通すスリーブの位置
・建具枠を納めるためのヌスミ(枠をはめ込む欠き込み)
・床の仕上げの違いによる段差を吸収するための、床の高さの調整
この建物では、2階と3階の事務室も天井をコンクリート打放しとしています。天井に取り付ける配線ラックと照明器具(直付け)は、天井の型枠パネルの目地に合わせて配置しました。
これらが正確に仕込めていないと、完成後に配管や配線を露出させて取り付けることになり、設計どおりの仕上がりになりません。完成後の姿を見越して、仕込むべきものを上棟までにすべて仕込み終えられているかどうかが、設計の質の差として建物に表れます。
屋上階のコンクリート打設

南側の道路にコンクリートミキサー車とポンプ車を横付けし、ポンプ車のブームで屋上までコンクリートを圧送しました。今回は4階の壁と屋上の床を一度に打設しています。

北東側から見た圧送状況です。ミキサー車は工場との間を往復し、打設が途切れないように順番にコンクリートを運び込みます。
コンクリートの受入検査

工場から届いたコンクリートが、設計図書で指定した品質であるかを、打設前に検査します。これを受入検査と呼びます。
受入検査は、第三者検査機関が試験を行い、施工者の現場監督が立ち会って確認します。スランプ(コンクリートの軟らかさ)、空気量、温度、塩化物量を測り、あわせて強度試験用の供試体を採取します。
設計者が工事中の現場で、設計図書どおりに工事が行われているかを確認することを工事監理といいます。受入検査での設計監理者の役割は、現場監督による検査が決められた手順どおりに行われているかを確認することです。
非常駐の工事監理では、毎回の検査に立ち会うことは前提としていません。工事の初めに検査の手順と役割分担を確認し、その後は検査記録の提出を受けて確かめます。今回の屋上階の打設では、設計監理者も受入検査に立ち会いました。
ジャンカを防ぐため型枠を叩く

窓などの開口部の下端は、上から流し込んだコンクリートが回り込みにくい箇所です。コンクリートが行き渡らないと、砂利が表面に露出したジャンカと呼ばれる欠陥ができます。
型枠を木槌で叩いて振動を与え、コンクリートを隅々まで充填させます。コンクリート打放しの建物では、型枠を外したときの表面がそのまま外観になり、仕上げで隠すことができません。そのため4階南側の開口部では、設計監理者の片岡も型枠を叩き、充填状況を確認しました。
打設を終えた屋上と躯体防水

打設を終えた屋上から西側を見ています。

北側を見ています。4階の北側の壁は、高度斜線制限に合わせて斜めに倒しています。
この建物の屋上は、アスファルト防水ではなくコンクリート躯体防水としています。躯体防水では、コンクリートの躯体そのものが防水の役割を担うため、表面に防水層を設けません。
アスファルト防水で防水層を立ち上げるために必要なパラペットも、本来は不要です。この建物の屋上の縁にあるのは、陸屋根(平らな屋根)の雨水を受けるための低い立ち上がりだけです。
そのぶん建物の高さを抑えられ、高度斜線制限のある敷地で、抑えた高さを各階の天井の高さに充てています。
斜めの壁と屋上の床が取り合う北側は、この立ち上がりの納まりが、雨水の浸入を防ぐうえで重要な箇所です。この部分が図面どおりの形に打ち上がっているかを確認しています。
次回は、上棟後の工程であるサッシ下地工事についてお伝えします。
RC造のオフィスビル、コンクリート打ち放しの建築をご検討の方は、潮見オフィスビルの設計事例ページや未公開カット集、もあわせてご覧ください。
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