東京都江東区潮見で設計監理を進めている、鉄筋コンクリート造4階建てのオフィスビルの現場です。着工から282日目、現在は3階の型枠工事が進行しています。今回は、この工程の中で行った配筋検査の様子から、RC造の現場で設計者が何を見ているのかをご紹介します。
小規模な建物の現場は、大規模なビル工事に比べて、工程の進み方が驚くほど速いという特徴があります。今回ご紹介する3階の現場も、まさにそのスピード感が写真に表れています。同じ3階の中でも、鉄筋がまだ見えている部分と、すでに型枠が閉じられてしまっている部分が混在しているのは、決して検査が後手に回ったからではありません。むしろ、この「速さ」にどう向き合うかが、設計者としての現場対応力が問われる部分です。
なぜ、一瞬で壁が閉じられてしまうのか
型枠工事と聞くと、板を1枚1枚、その場で組み立てていくイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし今回の建物は、2階と3階で平面プランと階高が共通化している部分が多く、2階で使用した型枠を脱型後そのまま3階に転用できる箇所が数多くあります。そのため、配筋を確認した直後に、その型枠がそのまま立て込まれてしまうという場面が生まれます。
実はこの転用のしやすさは、現場での工夫だけでなく、設計段階からの狙いでもあります。詳しくは完成事例のページでもご紹介していますが、各階の窓の位置・幅を揃えることで、型枠を効率よく使い回せるように設計しています。
このため、1枚ずつ様子を見ながら進むわけではなく、共通化された型枠がそのまま「一気に」立ち上がっていきます。非常駐監理、つまり週1回程度の頻度で現場を確認するスタイルにおいては、このスピード感を理解した上で、どのタイミングで現場に入るべきかを見極めることが、品質を守る上で欠かせない判断になります。
現場の様子

3階の男子ロッカールームから事務室方向を見ると、東側の開口の先に公園の緑が広がっています。まだ鉄筋が組まれた状態のまま、型枠の建て込みが進んでいるのが分かります。

逆に事務室からロッカースペースを見返しても、同じ東側の窓から公園の樹木が視界に入ります。

一方、給湯室や階段室の方向を見ると、こちらはすでに型枠が返され、壁の輪郭が姿を現しています。

南東から女子ロッカー方向を見た様子、

女子ロッカー前から公園の樹木越しに光を捉えた様子、

階段室出入口から東側開口を見た様子と、
3階のフロア全体を歩きながら、鉄筋が見えている箇所・型枠がすでに閉じられている箇所、それぞれの状態を確認していきます。

一足先に完成している2階では、事務室の1,400角の南側開口部分で、すでに型枠が脱型されていました。

階段室出入口からも、脱型後のコンクリート面が確認できます。

1階トイレ前から東側シャッター開口部を見る。天井高2700mmの空間構成を計画した1階内部。
外観は、

南東側

西側

南側と、
足場や養生シートに覆われながらも、コンクリート打ち放しの重厚な建物のボリュームが着実に立ち上がってきているのが分かります。
設計者としてのこだわり
現場では、型枠が閉じられる前に、いかに漏れなく確認するかという単純な話ではなく、「今この段階で何を優先して見るべきか」を、限られた訪問回数の中で判断し続けることが求められます。すべてをその場で1本ずつ確認できるわけではない以上、施工計画の段階から施工会社としっかりすり合わせを行い、どの工程で・何を・どう確認するかを事前に取り決めておくことが、非常駐監理という進め方の中で品質を守るための土台になります。
小規模なRC造オフィスビルであっても、こうした一つひとつの積み重ねが、コンクリート打ち放しという、仕上げの美しさと構造の確かさの両方が問われる建物の完成度を左右します。
RCオフィスビルや自社ビルの建設をご検討中の方は、実際に完成した潮見オフィスビルの事例もご覧ください。
次回は、3階の型枠工事についてご紹介する予定です。
RCオフィスビルや自社ビルの新築をご検討の方は、お問い合わせページよりお気軽にご相談ください。設計監理費用の目安はこちらでご確認いただけます。



















