建築における「美しさ」とは、単なる表面的な装飾ではありません。敷地条件や予算、そして法規制といった厳しい制約と向き合い、徹底的に無駄を削ぎ落とした先にある「構造の必然性」にこそ、真の美しさが宿ります。
本記事では、メインの作品紹介ページではお伝えしきれなかった、建築写真家による未公開カット(全12枚)をご紹介します。
「このオフィスビルの全体像や詳細なプロジェクト解説は、こちらのメインページをご覧ください」
昼の力強いコンクリートの表情から、コストを最適化する内部の工夫、そして企業の品格を街に灯す夕景まで。RC壁式構造が持つ「理(ことわり)」と「美学」を、建物内を巡るようにお楽しみください。
青空に屹立する、コンクリートの端正なシルエット

メインページではお見せしきれなかった、東側ファサードの全景です。
無駄な装飾を一切排し、コンクリートの重厚な質感と規則的な開口部のみで構成された外観。
それは時代に流されない普遍的な美しさを持ち、企業の揺るぎない安定感と信頼性を視覚的に証明します。
力の流れを可視化する、構造体の力強い輪郭

南東角からの外観全景。
厚さ300mmのコンクリート壁に開口部を穿つ「引き算の設計」を体現。
不要な重量を減らして基礎杭への負担を抑え、軟弱地盤における合理的な自社ビル建築を叶えました。
陰影が際立たせる、素材のテクスチャーと緊張感

南側外観の夕景。
日が落ちると、端正なコンクリートの躯体に穿たれた正方形の窓から室内の温かな光が漏れ出し、昼間とは異なる表情を見せます。
残業時や夜間のセキュリティ面でも安心感のある佇まいです。
無機質な空間に宿る、職人の温もりと実用性

1階の倉庫スペースです。
壁式構造ならではの無機質で堅牢なコンクリートとグレーのタイヤ痕耐性のある塗装床に対し、大工仕事で強固に造作された木製の作業棚が、視覚的な温かみとコントラストをもたらす機能的な実務空間です。
階高の圧縮と開放感を両立する「現し」の天井計画

2階事務室は床・天井ともにコンクリート仕上げです。
OAフロアを無くすことで材料費を削減。
代わりに天井へ配線ラックを設置し、各デスクへ配線を下ろす合理的な仕組みを採用し、大幅なコストダウンを実現しました。
都市の自然を借景として取り込む、パノラマウィンドウ

3階事務室からは公園の樹冠が絵画のように広がります。
大きな窓は外の自然とつながるリラックス効果を従業員にもたらします。
天井に走る配線ラックも、むき出しのコンクリート空間のインダストリアルなアクセントです。
細部に宿る、光と影の繊細なグラデーション

4方向に窓を設けた、最上階の明るく開放的な会議室。
建物の軽量化のために開口部を最大化したことで、豊かな自然光と眺望が得られ、活発な議論を生むクリエイティブなオフィス環境を実現しました。
法規制を味方につける、合理的で無駄のない窓配置

東側の開口部です。
構造規定の最小値となる両袖壁の間に設けた大開口。
排煙上有効な面積をこの引違い窓だけで確保するよう綿密に計算し、上部の欄間(排煙用突き出し窓)を無くすことで、サッシの製作費用を大幅にコストダウンしています。
また、代用進入口の位置を南側に取らず、東側立面だけで満足させられるようにしています。
南外壁西端から外壁距離を10m以内に、この東側開口部が来るようにすることで、南側サッシを代用進入口に必要な開き窓や引違いとせずに、FIX窓という一番シンプルでローコストな開口とすることができています。
夕闇に浮かび上がる、コンクリートの新たな表情

東南角からの美しい夕景。
建物の自重を軽くするために設けられた大きな窓が、夜間は建物を内側から照らすランタンのように機能します。
街に開かれた透明感のあるデザインが、企業の信頼感を高めます。
街を照らすランタンのように。企業の透明性を伝える光

東側正面からの夕景。
各階の大きな窓は、建物の軽量化による基礎杭工事のコスト削減の要であると同時に、夜間は活動的なオフィス空間の明かりを街へ届け、自社ビルの確かな存在感を静かにアピールします。
夜の闇に抗う、重厚な壁のシルエット

東南側からの外観夕景です。
シャープなコンクリートの躯体と、あたたかな照明が灯る大きな窓のコントラストが印象的。無駄を徹底して省いた合理的な設計方針が、洗練されたインダストリアルなオフィスデザインを生み出しています。
静寂の中に息づく、建築の美しき終着点

南東外観の夕景。
支持地盤が深い埋立地において、建物の自重を減らして長大な杭への負担を下げるという厳しい課題を、ダイナミックな開口部へと転換。
投資効率を高める、機能美に溢れた設計事例です。



















