3階の型枠がほぼ完成。デザインの要、鋭角の袖壁とどう向き合っているか
東京都江東区潮見で設計監理を進めている、鉄筋コンクリート造4階建てオフィスビルの現場です。
前回の配筋検査からおよそ1週間、着工から291日。3階の壁型枠がほぼ組み上がり、コンクリート打設を待つ段階まで進みました。今回は、この建物の意匠上の見せ場となる部分の型枠工事について、現場の様子とあわせてご紹介します。

建物の顔となる袖壁
この建物には、構造上は必ずしも必要ではない壁を、あえてデザインとして設けている部分があります。
南東の角、2階から4階まで連続して立ち上がる、コンクリート打ち放しの袖壁です。
四角い箱のような建物になりがちなオフィスビルにおいて、この袖壁が建物の輪郭に陰影と表情を与え、外観全体の印象を引き締める、いわば建物の顔になる部分です。
鋭角の型枠がなぜ難しいのか
この袖壁は、鋭角に切り返す形状になっています。ここが、今回の型枠工事の一番の難所です。
一般的な直角の隅角部であれば、コンクリートを流し込んだ際にかかる側圧に対して、型枠の裏側に当てる桟木(下地材)を垂直にしっかりと効かせることで、型枠が圧力に負けて膨らんだり、破裂したりするのを防ぐことができます。
しかし鋭角になると、この桟木を側圧に対して効果的に効かせる形で組むこと自体が難しくなります。仕上がりの見た目以前に、型枠そのものが施工中の圧力に耐えられる形できちんと組み立てられるかどうかという、より根本的なところが問われる工事です。
意匠上、最も見せ場になる部分が、同時に施工上も最も難しい部分になっている。今回はその型枠が無事に、そして美しく仕上がることを願いながら、現場を見守っています。
現場の様子

3階のロッカールームから南側、事務室方向を見ると、コンクリート打設を待つ型枠がほぼ出来上がっているのが分かります。

階段室から東側開口を見ても、天井部分の型枠まで作り終えている状況です。

一足先に工事が進んでいる1階・2階では、型枠の脱型が進んでいます。1階倉庫部分は、北側の収納スペースと東側のシャッター開口が見える中、型枠が外れていく途中の様子です。

1階の電気盤スペースから東側のシャッター開口を見た様子でも、同じく脱型が進んでいるのが分かります。

2階事務室は、北から南に向かって見ると、東側開口部の先に光が入り、天井の一部はまだパイプサポートで支えられています。

2階 西側から東側開口部を見ても、脱型は進みながらも、天井のパイプサポートの一部がまだ残っている状態です。

外観は、東側立面、

南側、

西側と周辺の街並み
と、いずれも3階部分の型枠が立ち上がった姿を捉えています。ただし、今回ご紹介した南東角の袖壁は、現在まだ養生シートに覆われており、外からその意匠を見ることはできません。完成した際の姿は、ぜひ完成後のご報告をお楽しみに。
設計者は現場で何を見ているのか
ここで、工事監理という仕事について、少し触れておきたいと思います。多くの方が、設計監理者は現場にほぼ毎日のように来て、鉄筋の本数や型枠の寸法を、自分の目で1本ずつ、1か所ずつ確認しているとイメージされているようです。しかし実際には、そのような進め方はしていません。
現場では、
- まず職人が、施工図・構造図の通りに配筋や型枠ができているかを自主的に検査する
- 次に施工管理者(現場監督)が、その自主検査の内容を報告として受け取り、現場の出来上がりを検査する
- そして設計者は、工事監理という立場で、その報告を踏まえたうえで、重要な箇所を中心に抽出検査を行い、施工管理者の自主検査そのものがきちんと機能しているかを確認する
という3段階の体制で、品質を積み上げています。設計監理者が全数を1本ずつ確認しているわけではありません。これは手を抜いているのではなく、専門性の異なる立場がそれぞれの役割を果たすことで、1人がすべてを見ようとするよりも見落としの少ない、確かな進め方だからです。
配筋の細かな数え違いや、型枠の納まりについての確認・調整は、現場ではごく日常的に発生します。今回も、その都度施工管理者・職人と話し合いながら、その場で是正しています。こうした細かなやり取りの積み重ねこそが、この3段階の体制が実際に機能している証だと考えています。
コンクリート打ち放しのデザインと、確かな工事監理体制で建物をつくりたいとお考えの方は、実際に完成した潮見オフィスビルの事例もご覧ください。
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