片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」

まつだい「農舞台」(まつだい「のうぶたい」)という美術館です。正式名称はまつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」と言うようです。

MVRDVという有名なオランダの建築家集団が、設計した建築です。MVRDVのメンバーにはレム・コールハースの事務所出身の人がるので、全体の構成などにレム・コールハースの影響が感じられます。

MVRDVの設計は、渋谷の表参道にあるGYREというショッピングモールの実作が有名です。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」

裏側の眺めです。建物2階が美術館なのですが、アプローチとなる出入口が四方に建物から伸びていて動線が建物外観に表現されているようです。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」

エントランスはそっけないので最初入り口がわかりませんでした。そういったことに空間のヒエラルキーに重きをおかないのがMVRDVの良さなのかもしれません。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」受付前廊下

受付のホールのようなものが無く廊下から売店のような受付カウンターのある部屋を探して入っていきます。迷路のような回遊性があるプランがレム・コールハースの影響なのではと感じます。一般的な美術館の平面計画とは違った面白いプラン構成に感じます。

そして、特徴的な色の使い方がとても刺激的です。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」廊下

エントランスから階段で2階に上がっていった廊下です。右手が受付の部屋です。

色使いが部屋を切り取るようにデザインされていて、勉強になります。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」エレベーターホール

エレベーターホールはオレンジ色で床・壁・天井が塗られていて廊下から切り取られたようにデザインされています。色で空間を分節した体験ができ、とても刺激的です。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」カフェ

カフェは黒い廊下から水色の床・壁・天井の部屋になっていました。この色の体験はなかなかできないと思います。サッシや家具まですべて同じ色で統一されています。すごいです。天井のシャンデリアも小口にドレープが付いたデザインでおしゃれです。窓からは川越しに段状になった棚田の中に緑に映える水色と黄色のオブジェが眺められました。素晴らしいです。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」屋上エレベータ棟屋

屋上のエレベーター棟屋は鉄骨のフレームで覆われていました。遠くからのアイコンとしてこの鉄骨の造形が印象的です。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」屋上エレベーター詳細

屋上のエレベーターはエレベーター扉の外にさらに自動扉が付いています。

ちょっと驚きました。

雪深い地域ということと雨かかりを考慮してということでしょうか。昇降路に雨が入らないように水勾配が付いているようですが、ちょっと不安で乱暴なディテールに感じました。

しかし、回遊性を重視して物見台として屋上を開放して入館者に周りの景色を楽しめるようにする考えは拍手を送りたいくらい素晴らしい考えだと思いました。さすがMVRDVというところでしょうか。

コストの都合があるのでしょうが、床レベルを上げて置き敷きでもデッキ床にするなどしたほうがよかったのではと思いました。その方が床の基礎からかっこいいデザインされた鉄骨フレームがあるのではなく、床から直接鉄骨が見えるスッキリしたデザインになると思います。しかしこれも防水の改修や雪の対応などを考えると悩ましいですので難しい設計になると思います。山本理顕先生の横須賀美術館の屋上では、確か溶融亜鉛メッキのグレーチング床になっていました。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」屋上鉄骨フレーム

屋上の鉄骨接合部越しに最寄り駅の北越急行ほくほく線の松代駅が眺められます。

国道253号線から離れているので国道からはほとんど見えませんでした。日本では表参道とここにしかないMVRDVなのにもったいないです。

鉄骨のフレームをよく見ると、柱梁接合部に水平プレートが入った剛接合になっています。これは飾りではなく建物を支える構造体ということでしょうか。この鉄骨フレームと構造プランが整合しているようには感じられなかったので、よくわかりませんでした。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」屋上階段棟屋

屋上の階段棟屋です。出入口の扉下端に立ち上がりがありません。すごい勇気です。雨が吹き込んでいかないのでしょうか。また、設計というより管理の問題で、防水が歩行用シート防水なのでしょうか。床の樹脂のメッシュが荒れてきていて全体的にメンテナンスがされていないようで、せっかくの屋上回遊性の魅力が半減しているように感じます。

最近のマンションのテラスデッキの屋上防水仕様よりグレードが低く感じますが、MVRDVの価値観では、屋上防水仕様より、回遊性やアイコンとなる鉄骨フレームが優先なので、防水はこれでよいとのことだと思いました。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」

2階に美術館を浮かすことでできた一階の部分が屋外になっていて客席とバスケットコートのようになっていました。天井の照明配列がかっこいいです。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」外観裏側

外観 広場に通じる通路が連続して屋根がかかっていました。ここにも外部に入館者を導く回遊性が表れていると思いました。

片岡直樹の建もの探訪|まつだい「農舞台」外観

黄色いオブジェが緑に映えます。

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片岡直樹

片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所

代表 片岡直樹

設備設計一級建築士

一級建築士

管理建築士

読売理工医療福祉専門学校非常勤講師

2014グッドデザイン賞をデザイナーズマンション プラザレジデンス9の設計監理にて受賞致しました。

2014グッドデザイン賞をデザイナーズマンション プラザレジデンス9の設計監理にて受賞致しました。

デザイナーズマンションの設計でグッドデザイン賞を頂きました。2008

2008グッドデザイン賞をデザイナーズマンション プラザレジデンス8の設計監理にて受賞致しました。

建築雑誌KJ2016年12月号に「掲載されました。

建築雑誌KJ2016年12月号にデザイナーズマンション3作品が掲載されました。

制作実績一覧

  1. オフィスデザイン 引越移転内装工事 東京都港区南青山での事例
  2. デザイナーズマンション グッドデザイン賞
  3. デザイナーズマンション グッドデザイン賞
  4. オフィスデザイン・オフィス移転工事 東京都渋谷区神宮前のマスコミ・クリエーター人材派遣会社のオフィス移転工事の事例です。原宿というトレンドにとって特別な地域の街の景色を入り込ませている左側の既存サッシがあります。サッシフレームと新設するホール室内の一体感を持たせるため、ピッチをサッシにそろえながら、天井フレームのフラクタルなステンレス鏡面の雲(クラウド)を作成しています。天井のフラクタクルなステンレス鏡面フレームが遮音壁兼内照壁まで降りてきてホール室内全体を覆うデザインとしています。ホール窓側にスクリーンを下ろして、セミナーや講習会を行えるレイアウトとしています。そのため、映像・音響設備も備えています。木製の親子扉の奥が事務室になります。透明のチェアは相合家具のSMART・Sです。
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