なかまちテラス (小平市立仲町公民館・仲町図書館)外観

片岡直樹の建もの探訪|なかまちテラス (小平市立仲町公民館・仲町図書館)

青梅街道に面して建つその建物は、壁面が折れまがり建物のボリュームがうねりミゾが彫られたように分節されています。建物を作るための膨大なエネルギーと情熱を感じて、私は建物を見て感動しました。なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館を見学してきました。いやぁー素晴らしいです。さすが建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した世界的建築家妹島和世先生の作品はすごいです。敬服します。職員の方の了解を頂き、内部も撮影させて頂きました。地下一階、地上3階建ての小さな建物のはずですが、気がつくと2時間以上も見学していました。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館エキスパンドメタル近影

エキスパンドメタルの特徴である視線のコントロールを巧みに利用されていて勉強になります。近くで見ると正面でも奥の壁面のブラケットなどが見えます。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館エキスパンドメタル見上げ

見上げると透けて下の壁面が見えます。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館エキスパンドメタル端部

建物留部のエキスパンドメタルのディテールは突合せでコーナーの押さえ金物屋や裏面のブラケットでの固定もしていません。ところどころリングのワイヤーで結んであります。端部がフリーになっているのと壁面が傾斜しているので、端部は通っていませんでした。あくまで透けるエキスパンドメタルを優先するデザインということでしょうか。私でしたら、端部が裏面だけでもいいので、小さなアングルで押さえたくなってしまいます。まあ、そうするとダサいということでしょうか。ところどころリングのワイヤーで結んでありますが、これだけですと強風などでガシガシ留部が当たって風切り音なども発生がおさえられなくて気になるように思います。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館エキスパンドメタル下留部

建物入り口付近のエキスパンドメタル留部下部分で壊れていました。小さなフラットバーで押さえてありますが、これだけではコーナーガードの役割は厳しかったと思われます。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館ポスト

ポストのディテールです。外壁とエキスパンドメタルの外皮の間があいていて単にエキスパンドメタルの端部でケガをしないようにフラットバーでおさえるだけの設計になっています。外壁とエキスパンドメタルの外皮の間に本や手紙を落としたらどうするのか気になりました。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館玄関自動扉

自動扉の図書館のメイン玄関部分で傾斜した壁と自動扉の鉛直部の間はパネルがあります。エキスパンドメタルの両端部にはフラットバーでコーナーガードがあります。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館自動扉

別の入口の自動扉で両開きになっている部分です。外皮のエキスパンドメタルを支える二次部材の柱とガラスカーテンウォールの枠縁と構造の鉄骨柱と三重に線材が重なり複雑な見た目になっています。自動ドアの三方枠の金属パネル部分は外壁に面しているのですが、断熱はどうなっているのでしょうか。断熱塗装ということでしょうか。よくよく考えてみますと、これだけ大きな開口のある建物でペアガラスだけでは省エネ法の基準をクリアできないように思うのですが、何か方法があるのでしょうか。公共建築なので省エネ法無視ということはないように思うのですが・・・。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館排煙オペレーター

1階エントランスの排煙オペレーターです。オペレーターワイヤーと躯体ブレースが干渉していて、メンテナンスでのオペレーターワイヤーの交換が考慮されていないように感じました。また、鉄骨造で躯体に直接ボード仕上げが連続して着いています。相間変位がおこれば鉄骨柱とボードの間で、ひび割れが発生すると思いますが良いのでしょうか。鉄骨造ブレースでも、これだけ平面が複雑だと相当バランスが悪くなる部分が出ると思いました。部材の大きさと量を見ても、通常の重量鉄骨造と同じで、鉄筋コンクリート造の10倍は層間変位があるように見受けられます。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館出入口

右がカフェラウンジ 左がエントランス 左奥が調理室で学習室として利用されていました。通り抜けができる通路の見上げです。ものすごい複雑な壁面とカーテンウォールです。こんな複雑な設計ができるのに感心します。さすが世界的建築家妹島和世先生です。コンクリートスラブから2階の読書ラウンジまでカーテンウォールが突きあがっています。すごいです。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館通り抜け部見上げ

通り抜ける部分の見上げです。 2階床コンクリートスラブとガラスカーテンウォールの押さえ縁が複雑に廻っています。カーテンウォールを支えるバックマリオンがそのまま構造柱なのでさらにその精度に驚きます。角度それぞれ3次元的に違います。こうなると本当に最初から設計段階でわかっていたのでしょうか。もう凄すぎます。ただ、やっぱり断熱はどうしてるのかわかりません。スラブの断熱補強などどこにも見当たりません。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館調理室入り口

調理室入り口です。学習室として利用されていました。壁面の傾斜がきついのでドアとの三方枠パネルが大きいです。パネルの厚みがガラスカーテンウォールの押さえ縁と同じ厚さになっていて内部に断熱材と構造部材が入っているのでしょうか。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館エキスパンドメタル支持部ディテール

外皮のエキスパンドメタル支持部ディテール 勉強になります。ただ、外壁が傾斜して空を向いている壁面もあるので、ロッキングによるシール切れをメンテナンスする必要があるように思います。将来は、エキスパンドメタルをはがしてシールの打ち替えが必要になるのではと思いました。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館エントランス階段

エントランスから地下に降りていく階段 階段周りに回遊性を持たせるためにスキマ通路があります。 エキスパンドメタル面とガラスカーテンウォール面と躯体鉄骨ブレース面と三重の複雑な外壁が見えます。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館地下階段出口

地下の公民館階段出口です。 ホールに対して階段を角度をつけて振っています。空間に面白さが出ていると思いました。階段の踏み面が白色です。汚れが気になって普通出来ません。公共建築ですごい勇気です。敬服します。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館床スラブひび割れ

地下の床スラブがバキバキにひび割れていました。シンダーコンクリートなのでしょうか。公共建築でこの仕様で役所の了解を得られる妹島先生が凄いです。どうしても収縮目地を入れるか何か仕上げをしてひび割れを見えないようにしようと普通の設計者でしたらすると思います。でも実際はこのように、どの建物でも、コンクリート収縮でも、ひび割れがおこるものなのです。お施主様に納得して頂くのは難しいです。ましてや公共建築ではさらに理解を得るのは困難かと思われます。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館地下天井ブリーズライン

地階 ホール天井の空調スリットです。中の設備機器が見えるので、これは天井チャンバー方式吸い込み口と思われます。私は設備設計一級建築士として、この天井チャンバー方式はお勧めしません。天井内にいったん吸い込んだ空気が、天井内部を伝わって室内機にこのスリット穴部分から入った空気を吸い込む仕様だと思います。天井内部は設備機器がぎっしり詰まっているので清掃はできません。虫やネズミ、ゴキブリなどが住みついたら、死骸やフンを巻き上げた空気が天井内から室内機に入ります。このスリットから巻き上げられたホコリが天井内から落ちてきます。もし、逆に吹き出し口としてこのスリットが使われているとしたら、もっとホコリが下りてきて問題が大きくなります。いずれにしても空気環境衛生上良くないと思います。近所には雑木林がありました。出入りの激しい公共建築の地階の天井では虫などの侵入が容易なので、厳しいことになるように思います。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館地階トイレ

地階のトイレです。仮設のようなトイレブースとなっています。最新の建物なのですが、便座にはウォシュレットもありません。妹島先生は、こういった部分には注力しない方針なのでしょうか。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館2階読書ラウンジ

2階の読書ラウンジエレベーターとティーンズコーナーの間のスリット部分です。こんなところにまで建物の裂け目が連続しています。凄いです。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館読書ラウンジと幼児コーナーの境目

2階読書ラウンジと幼児コーナーの境目が床から突き出たようになっています。凄いです。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館2階幼児コーナーと読書ラウンジの境目ディテール

2階読書ラウンジと幼児コーナーの境目のガラスカーテンウォールの突き出している部分のディテールです。両方とも外壁に面するガラスカーテンウォールですが右側だけ複層ガラスで左は単板ガラスのようです。断熱設計に穴があるように見えますが良いのでしょうか。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館2階機械室

2階読書ラウンジから屋外機械室が見えます。ガラスでわざと見せています。ガラス面の特徴として外観を見せる部分で窓がたくさんありますが、視線のコントロールでガラス面にもエキスパンドメタルが覆われています。内部から外を眺めるとき結構気にならないものだということがわかりました。私は、実際に体感した初めての事例なので、とても勉強になりました。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館機械室ディテール

2階機械室の床ディテールです。ガラスカーテンウォールが防水立ち上がりに切りこまれています。そして、鉄骨躯体柱の納まりがすごいことになっています。柱脚がコンクリート防水立ち上がりとぶつかっていて層間変形を拘束しています。ひび割れないのでしょうか。複層ガラスはなんとかシールで逃げられているように思います。

防水立ち上がり

2階読書ラウンジの天井ディテールです。全体的にコンクリート打ち放し仕上げなのに汚い印象です。補修がされていないようです。補修してまできれいに見せるのは違うということなのでしょうか。妹島先生の価値観ではこれでよいということなのかもしれません。勉強になります。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館3階読書ラウンジ

3階読書ラウンジから外を眺めるコーナーです。エキスパンドメタルが気になりません。普通だとエキスパンドメタルを外してガラスだけにしたくなりますが、エキスパンドメタルを知り尽くしている妹島和世先生だからできるのだと思いました。勉強になります。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館テラス

3階テラス部分です。手すりはありますが、エキスパンドメタルでも覆われています。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館テラス

3階テラスのスポットライトと自火報と思われる警報灯がエキスパンドメタルから切り抜かれています。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館3階読書ラウンジ

3階読書ラウンジです。

なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館外壁エキスパンドメタル入隅ディテール

外壁のエキスパンドメタル入隅ディテールです。ガラスカーテンウォールとパネル壁面が入隅で納まっています。入隅も端部は金物で支持していないのでメコメコしています。リングでつなげています。このリングの効果はどうなのでしょうか。私にはわかりませんでした。壁面側のブラケットがありますがエキスパンドメタル側で金物がありませんでした。とても複雑な建物なのでこういうことが起きるのは仕方がないと思います。

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片岡直樹

片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所

代表 片岡直樹

設備設計一級建築士

一級建築士

管理建築士

読売理工医療福祉専門学校非常勤講師

2014グッドデザイン賞をデザイナーズマンション プラザレジデンス9の設計監理にて受賞致しました。

2014グッドデザイン賞をデザイナーズマンション プラザレジデンス9の設計監理にて受賞致しました。

デザイナーズマンションの設計でグッドデザイン賞を頂きました。2008

2008グッドデザイン賞をデザイナーズマンション プラザレジデンス8の設計監理にて受賞致しました。

建築雑誌KJ2016年12月号に「掲載されました。

建築雑誌KJ2016年12月号にデザイナーズマンション3作品が掲載されました。

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  3. デザイナーズマンション グッドデザイン賞
  4. オフィスデザイン・オフィス移転工事 東京都渋谷区神宮前のマスコミ・クリエーター人材派遣会社のオフィス移転工事の事例です。原宿というトレンドにとって特別な地域の街の景色を入り込ませている左側の既存サッシがあります。サッシフレームと新設するホール室内の一体感を持たせるため、ピッチをサッシにそろえながら、天井フレームのフラクタルなステンレス鏡面の雲(クラウド)を作成しています。天井のフラクタクルなステンレス鏡面フレームが遮音壁兼内照壁まで降りてきてホール室内全体を覆うデザインとしています。ホール窓側にスクリーンを下ろして、セミナーや講習会を行えるレイアウトとしています。そのため、映像・音響設備も備えています。木製の親子扉の奥が事務室になります。透明のチェアは相合家具のSMART・Sです。
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