賃貸マンションでは、1階住戸の採光をどのように確保するかが、建物全体の商品価値を左右する重要な課題です。
しかし、トップライトを設ければ上階の床面積が減少し、賃貸マンションでは事業性を損ねる可能性があります。
今回ご紹介する新宿区市ヶ谷のRC賃貸マンションでは、高度斜線制限や日影規制によってもともと上階に床を設けることができない場所を活用してトップライトを設置しました。
その結果、総床面積を一切犠牲にすることなく、採光条件が最も厳しい101号室へ十分な自然光を取り込むことができています。
さらに、サッシ取付や設備工事も順調に進み、細部では雨仕舞いまで考慮したディテールを採用しています。
今回は、事業性・居住性・施工品質を両立させる設計の工夫をご紹介します。
304号室 設備バルコニー
上の写真は304号室の居室に面する2つの設備バルコニーです。
設備スペースをコンパクトにまとめながら、建物全体の外観デザインとの調和も図っています。
202号室 サッシ・設備工事
サッシの取付が進み、床下の給水・給湯配管と天井内の換気ダクトも施工されています。
左側がキッチン排気ダクト、右側がユニットバス・洗面・トイレ用換気ダクトです。
設備工事は完成後には見えなくなる部分ですが、住み心地や耐久性を左右する重要な工程です。
204号室
右手が水回りになります。
この部屋は、この建物で唯一バルコニーの無い部屋です。
前面道路に面していない北向きの窓なので、採光補正係数が厳しいため、窓がとても大きく設けられています。
204号室 水回り
床排水・給水・給湯配管の施工が完了しています。
配管ルートを整理することで、将来のメンテナンス性にも配慮しています。
303号室 高度斜線制限に対応した構造
洋室側の傾斜した壁は、高度斜線制限と日影規制への対応だけでなく、建物を支える構造上重要な壁柱としても機能しています。
法規への対応と構造性能を両立した設計です。
303号室 雨仕舞いを考慮したダクト開口
玄関側では三角形の壁部分にダクト開口を設けています。
斜めの壁ではなく垂直壁に開口を設けることで、防水処理が確実になり、雨仕舞いの性能を高めています。
見えない部分こそ、建物の耐久性を左右する重要なポイントです。
402号室
上階ではサッシ取付の準備が進められています。
建物全体で外装工事と設備工事が並行して進行しています。
101号室 2方向避難
101号室は避難安全性を高めるため、ピロティに面した避難経路を確保した2方向避難計画となっています。
居住性だけでなく、安全性にも配慮した設計です。
101号室 トップライト
101号室は建物の中で最も採光条件が厳しい住戸です。
そのため、採光補正係数が高いトップライトを設けています。
一般的には、トップライトを設けると上階の床面積を確保できなくなり、賃貸マンションでは収益性が低下する要因となります。
本計画では、高度斜線制限と日影規制によってもともと床面積を設けられない部分だけを利用してトップライトを配置しました。
その結果、総床面積を減らすことなく1階住戸の採光性能を向上させ、居住性と事業性を両立しています。
法規制を制約として捉えるのではなく、建物の価値を高める設計へと転換した事例です。
道路側外観
道路側ではサッシの取付が進み、建物全体の外観が少しずつ完成形に近づいてきました。
コンクリート打放しの質感と開口部のバランスが現れ始め、完成後のデザインがよりイメージできる段階となっています。



