日影制限によって生まれる「斜めの壁」。これは都市部のマンション設計において避けられない課題の一つです。
しかし、この制約をどう処理するかで、建築家の設計力、そして建物の長期的な資産価値が問われます。
新宿区市ヶ谷の現場では、まさにその斜壁の型枠工事が進行中。
一見するとデザイン上の制約ですが、私たちは雨水の流れを緻密に計算し、あえて梁を直角形状に設計しています。
これは、将来の雨漏りリスクを徹底的に排除し、建物の耐久性を守るための重要な判断です。
この記事では、単にデザインを追求するだけでなく、コンクリート打ち放しと断熱壁の戦略的な使い分けから、雨仕舞いのような見えない部分の品質まで、建築家がいかにして建物の価値を総合的に高めていくのか、その設計の意図を具体的に解説します。
3階 型枠工事施工中
新宿区市谷での鉄筋コンクリート造4階建て新築賃貸マンションの建設事例です。
3階 型枠建て込み工事中
2階 コンクリート養生中
地下ピット配管作業
と階ごとで異なる作業が進んでいます。
303号室 洋室部分から写真右手の壁は日影制限による斜め壁となる部分です。
また、一部が設備バルコニーになっています。
304号室東面の洋室
304号室は写真左手と正面が日影制限による斜壁になります。
斜壁の梁はバルコニー屋根納まりと雨仕舞を良くするため斜め壁に沿わせた台形梁ではなく直角梁形状としています。
201号室は開口部に袖壁が無いので壁と開口が一致しています。
2階はコンクリート型枠脱型が進み、コンクリート養生中です。
202号室は洋室の両袖壁がコンクリート打放し化粧仕上です。
203号室は写真右手がコンクリート打放し化粧仕上です。
左手は断熱のためにプラスターボード下地ビニールクロス仕上になります。
101号室は写真右手が外部に面するため断熱+プラスターボードの上ビニールクロス仕上となります。左手はコンクリート打ちっ放し仕上げとなります。正面の開口両側の袖壁は耐力壁でコンクリート打ちっ放し仕上げとなります。



